お詫び:申し訳ございませんが、子音の解説については後日公開予定です。また執筆中の箇所も散見されますので、ご了承ください。
アメリカ英語標準発音一覧・母音編 総論
総論
日本語の母音は「あいうえお」の5個である。他方で数え方にもよるが、アメリカ英語には16個の母音が存在する。イタリア語、スペイン語、ロシア語も5個なので、メジャー言語の中では英語は異常である。子音に比べ母音の習得は難しい。母音習得は感覚に頼る部分が大きいからだ。成人以降に母音をマスターするには、楽器を演奏していた、音楽をやっていたなど、音に敏感である必要がある。普通のセンスの人が完全に英語の母音を習得するのは難しいので、完全にマスターしたいならスクールに行くのが一番早い。独学での習得は難しく勧めないが、それでも努力しないよりはマシなので、以下に解説を記す。
そもそも母音の定義は?
執筆中
理論編
母音は「咽頭腔」と「口腔」の形の組み合わせで決まる。喉の空間と口の空間である。唇の形や口の開き方を言う論者は多いが、それらは上記の組み合わせの結果にしか過ぎない。しかし、咽頭腔と口腔はMRIでしか可視化できないため、医療関係者でもない限り空間の形状を確認はできない。そこで発音を教える現場では実際には「母音図」を使用する。
20世紀初頭のある「発見」
執筆中
母音図の読み方
下の図が母音を発していく中で、舌の一番高い位置をプロットしたものである。上下 (High-Low)は顎の開閉度を示している。また、前後 (Front-Back) は聴覚印象上(何となくの口の中の位置感覚だと思っていい)どこに舌があるかを示している。Frontは歯の方向であり、Backは喉の方向である。母音図は発音の実際の学習上は、舌の位置の大雑把な感覚を掴むのに使用する。音声学者の間では細かい議論はあるが、われわれ「普通の人たち」の発音学習の有用性を考慮した場合は、その程度のレベルの理解で必要十分である。
英語の母音図
日本語の母音図
覚え方
母音図を一度、紙に書いてみるとよい。単母音については、歯に近い方を「前」、喉の方を「後」とした上で、前舌母音、中舌母音、後舌母音と3分類する。さらに顎の開閉度に応じて、「狭い」、「中くらい」「開いている」で3分類する。これで9つのマトリクスができる。R性母音、二重母音は単母音のオマケなので覚えるのは簡単だ。二重母音も自分で図を紙に書いてみよう。
1日1回でいいので模写してみて、それを5日間続ければ完全に覚えるだろう。簡単である。
前舌母音(単母音)
緊張した「イ」/iː/
- 顎の開閉度:狭い
- 顔の筋肉:緊張
- 唇:丸まらない
緩い「イ」/ɪ/
- 顎の開閉度:狭い
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
日本語とほぼ同じただの「エ」/ɛ/
- 顎の開閉度:中間
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
- 名称: epsilon
名古屋弁風な「ア」/æ/
- 顎の開閉度:開く
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
- 名称: ash
中舌母音(単母音)
一番地味だが大活躍する曖昧母音/ə/
- 顎の開閉度:中間
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
- 名称: schwa
曖昧母音の亜種/ʌ/
- 顎の開閉度:中間
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
後舌母音(単母音)
緊張した「ウ」/uː/
- 顎の開閉度:かなり狭い
- 顔の筋肉:緊張
- 唇:丸まる
緩い「ウ」/ʊ/
- 顎の開閉度:狭い
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:やや丸まる
- 名称: upsilon
「オ」と「ア」の中間的な玉虫色の音/ɔː/
- 顎の開閉度:やや開く
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:少し丸まる
- 名称: open o
喉に刺さる深いアクビの「ア」/ɑː/
- 顎の開閉度:開く
- 顔の筋肉:弛緩 (Lax)
- 唇:丸まらない
- 名称: broad a
二重母音について
/aɪ/
カタカナ発音で「アーィ」と言ってみよう。「アイ」だと間違いである。前半が80%、後半が20%の力の配分割合である。声質はカタカナ発音である。
R性母音
/ɝ/
これは/ʌ/に/r/を合体させた音である。ストレスがくる音節で現れる。わずかに違うが、実際上は/r/を聴いているのとあまり区別はつかない。
*動画準備中
/ɚ/
これは/ə/に/r/を合体させた音である。ストレスがこない音節で現れる。わずかに違うが、実際上は/r/を聴いているのとあまり区別はつかない。
*動画準備中
参考書籍など
松坂ヒロシ. (1986). 英語音声学入門. 研究社.